社会福祉法人を設立するために押えるべきこと

名称について

 社会福祉法人の公共性から、法人及び施設の名称は、個人名、団体名等から引用したものは認められません。また、同一都道府県内で同じ名称を用いることもできません。(東京都の場合、他県で使用されている名称も極力使用しないよう指導されています。)
なお、法人名と施設名は異なる名称を使用しなければなりません
(例)法人名:社会福祉法人ABC 施設名:特別養護老人ホームDEF
法人名:社会福祉法人ABC 施設名:特別養護老人ホームABC
(法人名と施設名が同一のため)

法人の所在地について

 原則として、施設の所在地が社会福祉法人の事務所の所在地となります。
なお、法人の事業活動の場所が広範囲にわたる場合は、地域ごとに事務所(施設)を設け、「従たる事務所」とすることができます。

社会福祉法人の資産に関する条件

社会福祉法人は、社会福祉事業を行うのに必要な資産を備えていなければなりません。

1、基本財産について

・施設の用に供する不動産は、原則として基本財産としなければなりません。


・社会福祉事業を行うために直接必要なすべての物件について所有権を有していること、又は国若しくは地方公共団体から貸与若しくは使用許可を受けていなければなりません。
・国又は地方公共団体から貸与又は使用許可を受けている場合にあっては、1000万円以上に相当する資産を有していなければならない。
・社会福祉施設を経営しない法人は、原則として1億円以上の基本資産を有していること。
( 緩和措置 )
居宅介護等事業の経営を目的とした社会福祉法人を設立する場合で、要件を満たした場合には、1000万円以上の基本資産があれば足ります。
地域・共同生活援助事業の経営を目的として社会福祉法人を設立する場合で、要件を満たした場合1000万円以上の基本資産があれば足ります。
介助犬訓練事業又は盲導犬訓練事業の経営を目的とした社会福祉法人を設立する場合で、要件を満たした場合、1000万円以上の基本資産があれば足ります。
社会福祉協議会及び共同募金会にあっては、300万円以上に相当する資産があれば足ります。

2、運用財産について

運用財産のうち当該法人の年間事業の12分の1以上(事業によっては12分の2以上)に相当する現金、普通預金又は当座預金を有していなければなりません。

3、公益事業用財産について


公益事業を行うにあっては、それに必要な財産を有し、かつ、他の財産と区分して管理しなければなりません

4、収益事業用財産について


収益を社会福祉事業の経営に充てることを目的した収益事業を行うことができますが、収益事業を行うにあたっての必要な財産を有し、かつ、他の財産と区分して管理しなければなりません。

社会福祉法人設立認可申請先

 都道府県知事または指定都市もしくは中核市の長が所轄庁となります。(ただし、その行う事業が2以上の都道府県の区域にわたった上で、1つの地方厚生局の所管内の場合は各地方厚生局長、2以上の地方厚生局にまたがる場合は厚生労働大臣が所轄庁となります)  所轄庁が厚生局長又は厚生労働大臣の場合も、都道府県知事または指定都市もしくは中核市の長を経由して申請書を提出します。

社会福祉法人設立登記

 認可書が到達した日から2週間以内に、社会福祉法人設立の登記を行います。これにより、法人が成立することになります。 

社会福祉法人の役員に関する条件

役員(理事、監事、代表理事)共通の条件


社会福祉法人には、6名以上の理事と2名以上の監事を設置しなければなりません。
なお、次の(1)から(4)に該当する者は、役員になることができません。 

*役員の欠格事由* 

・成年被後見人又は被保佐人 生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法又は社会福祉法の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなるまでの者 前号に該当する者を除くほか、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者 

・社会福祉法人法第56条第4項の規定による所轄庁の解散命令により解散を命じられた社会福祉法人の解散当時の役員 


・関係行政庁の職員が法人の役員となることは差し控えること。 


・実際に法人経営に参画できない者を、役員として名目的に選任しないこと。 


・地方公共団体の長など、特定の公職にある者が、慣例的に理事長や理事に就任したりしないこと。


理事についての条件

・理事は、社会福祉事業について熱意と理解を有し、かつ、実際に法人運営の職責を果たし得る者であること。

6人以上必要。 

・各理事と親族等特殊の関係にある者が、一定数を超えて選任されてはならない。 

定款準則による制限
理事定数親族等の数
6~9名1名
10~12名2名
13名3名


※ 親族等の特殊の関係のある者とは次のような方をいいます。

  1. 当該役員と親族関係にある者
    具体的には(1)6親等内の血族、(2)配偶者、(3)3親等内の姻族
  2. 当該役員と婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻と同様の事情にある者
  3. 当該役員の使用人及び当該役員から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者
  4. b又はcの親族で、これらの者と生計を一にしている者
  5. 当該役員が役員となっている会社の役員、使用人及び当該会社の経営に従事する他の者並びに当該会社の使用人であって、役員と同等の権限を有する者
  6. a~dの者と同族会社の関係にある法人の役員及び使用人


・当該法人に係る社会福祉施設の整備又は運営に密接に関連する業務を行う者が、理事の1/3を占めるないこと。 

・理事の2分の1以上(入所施設を経営しない場合は4分の1以上)は、社会福祉事業について学識経験を有する者及び地域の福祉関係者であること。 
学識経験を有する者地域の福祉関係者
社会福祉に関する教育を行う者社会福祉協議会等社会福祉事業を行う団体の役職員
社会福祉に関する研究を行う者民生委員、児童委員
社会福祉事業又は社会福祉関係の行政に従事した経験を有する者社会福祉に関するボランティア団体、民間社会福祉団体の代表者等
公認会計士、税理士、弁護士等、社会福祉事業経営を行う上で必要、かつ、有益な専門知識を有する者医師、保健師、看護師等保険医療関係者

自治会、町内会、婦人会及び商店会等の役員その他その者の参画により施設運営や在宅福祉事業の円滑な遂行が期待できる者

・理事には、地域の代表を加えること。 

・1人以上の施設長が、理事として参加すること(理事総数の3分の1以下)。 

・理事長は理事の中から選出すること

・それぞれの理事が代表権を有することは可能であるが、各理事と親族等の特殊な関係にある者のみが代表権を有する理事となることは適当ではない。

監事についての条件

・監事は、当該法人の理事、評議員及び職員又はこれらに類する他の職務を兼任しないこと。 

・監事のうち一人は財務諸表を監査し得る者であり、一人は社会福祉事業について知識経験を有する者であること。 他の役員と親族等の特殊の関係が有る者であってはならない。 

・監事定数は2名以上であること。 

・監事選任にあたって 監事は、当該法人の理事、評議員及び職員又はこれらに類する他の職務を兼任することはできない。 

・監事のうち1名は財務緒表を監査しうる者(弁護士、公認会計士、税理士、会社等の監査役・経理責任者など)でなければならない。 

・監事のうち1名は社会福祉事業についての学識経験者または地域の福祉関係者であること。 

・他の役員と親族等の特殊の関係があるものであってはならない。 

・当該法人に係る社会福祉施設の整備または運営と蜜接に関連する業務を行う者であってはならない。

評議員についての条件

・評議員会の定数は、理事の2倍を超えること。 
当該法人に係る社会福祉施設の整備又は運営に密接に関連する業務を行う者が、評議員の1/3を占めないこと。 
・評議員には、地域の代表を加えること。 ※利用者の家族の代表が加わることが望ましい。

施設長についての条件

・社会福祉施設の長は、関係法令及び通知で定める資格を有する者でなくてはならないこと。 
※特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)の場合、次のいずれかに該当することが必要。 
・社会福祉法第19条各号のいずれかに該当する者(社会福祉主事) 
・社会福祉事業に2年以上従事した者 
・これらと同等以上の能力を有すると認められる者(厚生労働省の定める資格認定講習課程を修了した者) 
・施設の長は、専任・常勤であること。



東京都で社会福祉法人の設立をお考えの方は、下記のページの設立の手引をご覧ください。
【東京都福祉保健局HP→こちら】

大阪府で社会福祉法人の設立をお考えの方は、下記のページの設立の手引をご覧ください。
【大阪府HP→こちら】
【厚生労働省HP→こちら】