マンション管理組合法人設立のメリットと注意事項


管理組合法人設立のメリット・デメリット  

 通常の管理組合の運営においては、必ずしも法人化する必要はありません。なぜなら、解釈上、権利能力や行為能力があるのと同様の扱いがされているからです。

 しかし、法人化をすることにより、次のようなメリットがあります。

1 法律関係が明確になる
 法人化することにより、今まで理事長の個人名義でしていた権利取得や義務負担は法人名義ですることができ、契約締結も同様となります。具体的には、不動産の登記や預金口座の名義が管理組合法人名義ですることができ、結果的に管理組合の財産と個人の財産の区別が明確になります。

2 取引の安全及び円滑化が図れる
 法人化することにより、法人登記がなされ、その存在なり内容が公示されるため、これと取引をする第三者は安心して取引をすることができます。
 例えば、金融機関からマンションの修繕費の融資を受ける場合でも法人格を持っていたほうが取引の安全が図れます。

 逆にデメリットとしては

1 事務手続なり経費が増える
 法人化することにより、まず登記事項に変更(例:代表権を有する理事等)があるとその度に変更登記をしなければなりません。またそれに伴い、経費も要します。
 他に、管理組合法人の設立時及びその年度の終了時に財産目録を作成し事務所に備え置くことが必要となります。また区分所有者名簿も同様に備え置き、変更があるごとに訂正しなければならず、事務手続が増えます。


法人化のメリット マンション管理組合を法人化しなくても、運営に大きな支障を来すことはありません。現在、法人化している管理組合が約1割であることからもうかがえます。 しかし、法人化することによる運営上のメリットは、意外に大きなものがあります。 メリットとしては、大きく分けて、 (1)資産を管理組合名義で所有や登記することができる (2)税制面での優遇を受ることができる (3)理事長の個人負担を少なくすることができる (4)管理組合としての取引の安全を図ることができる の4点をあげることができます。 (1)資産を管理組合名義で所有や登記することができる この点で最も大きなものが、共有部分についての不動産登記を管理組合名義とすることができることです。法人化していない場合、共有部分の登記は一般的には共有者全員の名前で行うことになり、区分所有者が変わった際には登記の変更も必要になりますが、法人の場合はこの必要がありません。 また、各区分所有者から納入を受けた管理費や積立金を管理するために、銀行口座の開設は欠かせません。法人化していない場合は、一般的に「○○マンション管理組合 理事長 ○○」というような口座名で開設し、その理事長の個人印を届出印とすることになります。この口座は、厳密には理事長の個人口座と法律上は位置付けられます。このため、理事長が何らかの事情で、例えば連帯保証人を引き受けていて、債務者に代わって金銭の返済を債権者に請求されたような場合、管理組合の預金口座が理事長の個人資産として差し押さえられるという事態もあり得ます。このような場合、判例では、その口座は理事長個人の資産ではなく、理事長が代表を務める法人格を持たない団体(この場合はマンション管理組合)の資産であるという解釈が確率亭酌していますので、そのまま差し押さえられるということはありません。しかし、差押えを解除するためには、いったん裁判所に請求しなければならず、時間と費用がかかります。この点、法人化した場合にはマンション管理組合名義と法人代表印で開設することができますので、このような万一のトラブルを避けることができます。理事長が交代したときの口座変更手続も、理事長個人名口座に比べてスムーズに行えます。 このほかにも、管理組合として専用の電話を開設するなどというような場合にも、管理組合名義で行うことができます。 以上のように、法人化することにより、管理組合自体が権利と義務の主体になることができます。 (2)税制面での優遇を受ることができる マンション管理組合法人は、法人性や消費税など税制面で公益法人に準じて取り扱われ優遇されます。 (3)理事長の個人負担を少なくすることができる 法人化をしていないマンション管理組合は、理事長が管理組合を代表または区分所有者全員を代理して行う業務があります。代表的なものとしては、 イ)共有部分棟について契約した損害保険の請求と受領 ロ)管理費の滞納など義務違反者に対して法的措置をとる場合、または訴えられた場合の原告、被告となること ハ)その他(1)で説明したケースなど、管理組合のために理事長が権利義務の主体となるような場合 があります。 このような場合、理事長の個人負担となることは実際にはないと考えられますが、厳密には法律上個人の資格で行っているともいえますので、人によっては精神的な負担は大きい場合もあります。 理事長を引き受ける人にとっては、大きな違いといえるでしょう。 (4)管理組合としての取引の安全を図ることができる マンションの大規模な修繕を行うときに、積立金のほかに金融機関から借り入れを行うなどといった、特に大きな取引を行う際には、法人であることによって相手方のもつ信頼度が変わってきますし、時には、法人でないと取引が難しい場合もあります。 このように法人化することによって、マンション管理組合とその代表者の存在が、法人登記によって明らかになりますので、取引の相手方は安心して取引を行うことができ、管理組合の運営をよりスムーズにすることができます。