医療法人比較


医療法人の種類

一言で「医療法人」と言っても厳密にはその中で更に種別があります。当ページでは、医療法人の各種別に関して解説したいと思います。
1人医師医療法人
医師又は歯科医師が常勤で1人か2人勤務する診療所を1箇所だけ開設する小規模の医療法人のことをいいます。この小規模の医療法人にはいくつかの特例が認められていて通常の医療法人より若干ですけど要件が緩和されています。
お医者さんが1人でやっているような個人の診療所でも法人にしやすくするためです。ただ、設立後の届などはほとんど同じです。

理事が1人でも良くなる

通常なら3人必要ですが都道府県知事の認可を受けると1人でも可能になります。ただし、実際は2人の理事を求められるのが多いようです。

資産要件が緩和されている

病院などをつくる医療法人は資本金と剰余金の合計(自己資本)が資産の総額の20%以上なければいけませんが,診療所のみのときはこの要件がありません。

設立認可申請が多少、簡単になっている

省略できる書類があります。
出資額限度法人
これは持分の定めのある社団の場合の医療法人のときにみとめられる形態で「退社や解散をしたときの持分の払戻しは出資額を超えることができない」ことを定款に定めた医療法人のことです。
例えば3000万円出資した社員がいたとしてその社員が退社するときにその医療法人の資産価値が10倍になっていたとします。通常ならその社員が退社等をするときは3億円の払戻しを受けられるはずですが出資額限度法人にすると出資額を超えることができないので3000万円の払戻ししか受けられません。仮に資産価値が半分になっていたら1500万円です。
資産価値が10倍になっていたとしてもそれは建物だったり医療設備などで一度に多額の払戻しをすると法人の存続自体が危なくなってしまうからです。
特別医療法人
これは法律で決められた要件をすべて満たすことによって公益性が高いと認められ、普通は医療法人でやってはいけない収益事業を行っても良いとされた医療法人です。やって良い収益事業も決められていますが結構幅広く認められています。
財団法人又は持分の定めのない社団法人しかなる事ができません。
特別医療法人になるためには新規の申請のときは法定された規定を定款又は寄付行為に定めて、追加の書類を添付して設立の認可を受ける事になります。
今ある医療法人が特別医療法人になるには定款又は寄付行為の変更が必要になります。定款又は寄付行為を変更するには都道府県の認可をうけなければなりません。
特定医療法人
これは公益性が高いとして国税庁長官の承認を受けた医療法人のことです。法人税、相続税、贈与税などの特例が受けられて税金が軽くなったり、税金を払わなくてよくなったりします。要件として特別医療法人とほぼ同じです。
この承認を得るためには厚生労働大臣の証明書が必要になり、そして、各事業年度が終了するごとにこの証明書をもらって税務署に提出しなければなりません。


医療法人特定医療法人特別医療法人
認可・承認都道府県知事の認可国税庁長官の承認都道府県知事による定款変更の認可
要件資産要件
(病院等を開設する場合自己資本比率20%以上)
役員数(理事3人、監事1人以上)
理事長(原則医師又は歯科医師)
医療法人のうち、
1.財団又は持分の定のない社団
2.自由診療の制限
3.同族役員の制限
4.差額ベッドの制限(30%以下)
5.給与の制限(年間3,600万円以下)
等を満たすもの
医療法人のうち、
1.財団又は持分の定めのない社団
2.自由診療の制限
3.同族役員の制限
4.給与の制限(年間3,600万円以下)
等を満たすもの
税率法人税率30%
収益事業は行えない
法人税率22%
収益事業は行えない
法人税率30%
一定の収益事業は可能
医療法人と一人医師医療法人との違い
昭和60年12月の医療法改正により、医療法人設立のために必要だった常勤の医師(又は歯科医師)3人以上という制約がなくなり、常勤の医師1人以上での医療法人の設立が可能となっています。
法律上は医療法人と設立手続や権利の面での差はありませんが、この制度を便宜上「一人医師医療法人」と呼んでいます。医療法人のうちの数多くはこの一人医師医療法人です。
医療法人一人医療法人
出資不動産はできる限り出資する。
土地・建物の両方を出資できないときはどちらか一方を出資。
不動産は出資が望ましい。賃借の場合は長期間の契約が必要。
資産自己資本比率20%以上。
2ヶ月分以上の運転資金が必要。
2ヶ月分以上の運転資金が必要。
出資財産未収金は出資する。未収金は出資する。
未収金は出資。敷金等については正味資産に算定しない。
賃借料の算定根拠不動産鑑定評価書が必要になる場合も。評価価格の8%。