法人成りのメリット

法人成りした方が有利である若しくは不利であると言われることがありますが、人それぞれ異なりますので、一概に有利・不利を言うことはできません。
下記に、一般的に言われる法人成りのメリット・デメリットを記載しますので、よく理解し、検討をしてください。

法人化のメリット

経営者や経営者の家族への退職金

個人事業の場合は経営者や経営者の家族に対する退職金の支払いは、必要経費として認められていません。これに対して会社の場合は会社経費として経営者や経営者の家族に退職金を支払うことができます。しかし、「功績倍率」など適正な金額でなくてはなりません。

有限責任


個人事業の場合は、事業用資産と個人資産の区別がないので、事業で失敗した場合には、それまでに蓄えた個人の全財産を取り崩してでも、借入金や未払金などの債務の支払いをしなければなりませんので個人財産を失う可能性があります。(無限責任)

株式会社は利益を獲得することを目的に株主からお金(資本)を集めて運営を行っています。
経営者はこれを元に事業を営み、株主に利益の配分を行います。
しかし経営者は株主から経営を任せられているだけであり、経営者が事業が失敗した場合でも、株主が出資したお金を放棄すればそれ以上の責任は基本的にはありません。(有限責任)

税金が安くなる場合がある


個人事業主にかかる所得税などと会社にかかる法人税などでは税率が違います。所得税は所得が増えるとだんだん税率が高くなり、法人税はある金額以上は税率が変わりませんので、所得(税金計算上の利益)が多い場合は、会社にしたほうが個人事業より税金が安くなる場合があります。どちらが損か得か検討することも大切です。

決算期が自由


個人事業では、決算期は12月と決まっていますが、会社の場合は決算期を自由に選べますので、事業の繁忙期を避けることなどができます。 

健康保険、厚生年金の加入が可能

会社の場合は経営者(社長)も健康保険に入ることができ、健康保険料の半分を会社が経費負担できます。 

個人事業では経営者は国民年金(全て自己負担)にしか入れません。個人事業主の奥さまが専業主婦の場合は、奥さまも国民年金に入り国民年金保険料を支払わなければなりません。
会社の場合は経営者も厚生年金に入ることができるため、将来の受け取る年金が増え、さらに厚生年金保険料の半分を会社が経費負担できます。 会社経営者が厚生年金に入っていれば(厚生年金保険料を払っていれば)、会社経営者の専業主婦である奥さまは、サラリーマンの奥さまと同じで国民年金を納めずに国民年金に入っていることになるという非常に大きな特典があります。

赤字を7年間繰り越すことができる。

会社設立して最初の数年は設備投資なども必要な場合がありますので、利益を出すことができない場合が少なくありません。 このような場合、会社は7年間赤字を繰り越せますので、数年後の利益が出た場合に、利益から過去の赤字を7年間分差し引くことができますので、このようなケースでは個人事業より会社のほうが税金が安くなります。(個人の場合は青色申告で3年間)


信用力

登記や決算書を開示する義務などがあるために社会的信用力があります。 

法人化のデメリット

交際費に限度がある

個人事業者では事業に直接関連する交際費であれば、かかった費用だけ必要経費に入れることは可能ですが、法人の場合は、年間400万円(資本金1億円以下)の損金算入限度額があり、それ以下でも10%は損金になりません。

赤字でも一定の税金がかかる

赤字法人でも、住民税の均等割(最低7万円)が毎年かかります。

税金が高くなる場合がある

「特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度」により、特殊支配同族会社に該当し、基準所得金額による適用除外にあてはまらなければ、代表者給与の給与所得控除相当額だけ損金不算入となり、場合によっては個人時代よりも税負担が増える可能性があります。

社会保険料の負担がある

法人は、法律上はすべて強制適用事業所として、(政府管掌)健康保険及び厚生年金に入らなければなりません。そうなると、事業主負担として、保険料の半額を負担しなければならず、会社の出費が多くなるのは事実で、法定福利費の負担は経営上重要な問題となっています。

税務調査の可能性

法人の方が調査に当たる可能性が高いと言われています。

事務コストが増大


会社を維持・発展させていくために、事務コストは個人時代に比べて増大します。(司法書士報酬・税理士報酬等)